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*まんじゅうのち、ねこみみ の続きです。が、うっかり薬飲んじゃった三郎に耳としっぽが生えちゃった。ということだけご理解いただければ読めます。
準備していた布団の上に二人して倒れこみ、深く深く唇を重ね合わせる。だんだん苦しくなってきたという時にやっと解放された舌からは銀色の糸が伸びて、ぷつりと途切れた。拭うように三郎の舌が唇を伝い、口端から零れおちた唾液を辿って首元に触れた。そうしている間にもその手は休まることなくさらさらといとも簡単に雷蔵の衣服を解き、上衣が腕に掛かるだけとなっていた。
自らとて触れたいところなのだが、首元に吸い付き顎の裏に跡を残す三郎には唇が届かない。むっとしながらどうしてやろうかと考えていると、鼻先にさらりと柔らかいものが掠めた。
ふさふさな毛におおわれた三角の耳が、さも楽しそうにひょこひょこと揺れている。三郎は耳が弱いことを思い出して、ならばこちらもそうなのかと首筋に埋めた頭を抱え込んだ雷蔵は少し上体を起こしてその耳の先をかしりとやわく食んだ。
「う、っわっ、らいぞっ、それだめ・・・!!」
とたんに耳の毛が膨張し動きが速まる。通常ではありえない物の過剰に反応する様を見るのが楽しくなってきて、根元に向かってさらに唇を滑らせた。するとゆらゆらと宙で浮いていた尻尾が諌めるようにぱしりぱしりと自らの背を叩く。さすがに頭にまでは届かないが、肩甲骨あたりに回した腕には届いた。その尻尾を掴む。逃れようと身を捩るそれを眺めやりながら、ふうと耳の奥へ息を吹きかけた。
「ら、らいぞっ 駄目だってば放して!」
「いやだよ、お前ばかりずるいじゃないか」
明日には消えてしまう物なら今のうちに楽しんでおかなければ。ぴんっと棒のようにして固まった尻尾の毛並みをなでながら雷蔵は、鼻歌でも奏でだしそうなほどの上機嫌だった。
***
相手に触れたい気持ちは解る。よぉっく解る。だが気持ち良くさせたいのはこちらだ。自らの愛撫に返る反応やどろどろになるまで快楽に溺れた雷蔵が見たいのであって、決して己に触れて反応を楽しむ雷蔵を見たいのでは、ないわけではないしそれはそれでとても嬉しいのだけれど。
こう言ってはなんだが男として悔しくなった三郎は、浮き上がる背に回していた腕で背骨を辿るようにして下から上へ撫で上げた。
「ひっ、」
「ぅわっ」
びくんっと撓る身体には満足したものの、その刺激のせいで強く尻尾を掴まれてしまった。そこからくるぞわりとしたものを払うように、胸元に頭をこすりつけると頬に柔らかい突起が触れた。頭を巡らせて目を向けると淡く色付いたそれがまるで弄ってほしそうにしていた。ぱくりと口に含んで舌先で転がす。するとやっ と待ち望んでいたかみ殺されなかった声が頭上で響いた。
「やっ、ぁああっ!さぶ、ぁ、まって、・・・っ」
不意を突いて濡れた声を出させたのに、再び唇を噛み締めて声を抑えられてしまう。だが反応は続くのでそれに応えようともう片方の粒を強く親指の腹で潰し、こりこりとつねった。跳ねる身体に肩に食い込む爪。べろりと舐めあげて外気に冷やされると、それだけで感じるのかふるりと震えた。
少しだけ歯を立ててやわく噛みつく。手のひら全体を使って粒を転がし、捏ね繰り回した。するとだんだん硬くなってきてぴんっと立ち上がる。触れるか触れないかの微かな刺激を与えると、濡れた吐息がもう一つの耳に掛かった。
顔を覗きこめば真っ赤に染めあがった頬、濡れた瞳に感じていることが如実に表されていて、その熟れた目元に唇を落とした。
「おま、えだけ、楽しむな・・・っ」
「雷蔵も感じているだろう?充分楽しんでいるじゃないか」
息も絶え絶えの上気した顔に睨まれても怖くもなんともない。次はどうしてやろうかと思っている矢先、その刺激は唐突に背筋を駆け上った。
「ひゃぁああっ!だめっ、だめだってば、らいぞうっ!」
先ほど強く掴まれた尻尾はすぐに難を逃れて背後でゆらゆらと機嫌良く揺れていた。しかし普段ないものだからついつい意識から外れてしまって、またもや雷蔵に捕まった。そして親指と人差し指で輪を作り、毛並みに逆らうように扱かれる。強くこすり上げるそれが何往復も施されると、まるで直接性器に刺激を与えられたのと同等の快楽が三郎の身体中に響き渡り、堪らずに目の前の肢体に縋りついた。首元に顔を埋めて懸命に刺激に耐えると、その耳元にくすくすと熱のこもった吐息に乗った笑みが触れる。
「ね、気持ちいい?三郎・・・」
「ひ、ぁ、らいぞ、気持ちいい、から・・・っ!」
「そう。じゃぁこれは?」
赤く染めあがった本来の耳に震える肩、尻尾が弱い上に扱いは性器と同じもので良いと理解した雷蔵は、その先端にぐりぐりと爪を立てた。もう片方の手は腰の下、臀部の割れ目の上にある尻尾の根元を肌ごと擦り上げ、そのまま尻尾に流して根元近くを揉みしだく。それと共に足の間で熱を持ち始めていた自身を膝で擦るように押し上げた。ついでとばかりに頬で忙しなく動く三角の耳にも息を吹きかける。
雷蔵としてはあくまで善意、気持ち良くしてやろうと思っての行為だが、どこもかしこも性感帯である三郎にとってはたまったものではない。一気に襲ってきた波に抗うことは不可能だった。
「っ、みゃああっ!?らい、ぁああ、っ」
擦り上げた膝からぬめりと生暖かい何かが溢れるのを感じた。ふと眼をやるとその部分の布地が他よりも濃くなっている。
「あぁ、いってしまったのか?三郎。しかも今、本当の猫みたいに・・・んっ」
あまりにもあまりな状況に呆然としてしまったが、揶揄するでもなく本当のことを、しかしくつくつと愉快そうに笑われながら述べられるのはとてもではないが恥ずかしすぎる。聞くには耐えられない事実を紡ぐその唇を、三郎は真っ赤になりながら塞ぐしかなかった。
唇を合わせたのはいいものの、雷蔵は尻尾の根元への刺激をやめてはくれない。おかげで鼻を抜けていく声や唇の重ね目から零れる喘ぎはすべて自分のものだ。悔しげに涙に濡れて歪む視界を開けると、楽しそうに笑む瞳と重なった。なんだか更にそこに普段の自分の姿が重なってしまい、柄にもなく自粛の二文字が頭をよぎったが今はそんなことを考えている場合ではない。だがしかし、主導権は取り戻せないでいた。
雷蔵を拒絶するなどありはしないことだが、このままではまずいと身体を起こして背の後ろに回る腕を外させる。
「き、君は抱かれる気はあるのか!?」
「そうだね、今日は久しぶりに逆転してもいいかな」
雷蔵を拒絶するなど絶対にありはしないことだが、だがしかしやはり愛されるより愛したい、気持ち良くさせたいのであって逆となると、いやしかし雷蔵が自らのナカに入り込むというのは愛されていることを身体全体で感じることができる行為であって嫌いでは決してないしむしろとても幸せなことなのだが・・・!
雷蔵のこととなると途端に迷いに迷って尻込みしてしまう三郎とは打って変わって、三郎のこととなるといつもの迷い癖を何処にやったのか早々に決断した雷蔵が三郎を乗せたまま腹筋の力だけで上体を起こす。そして三郎の背を支えるとさっさと体勢を入れ替えてしまった。
***
結論を出す前に引っくり返された三郎は拒むように腕を伸ばし雷蔵に触れさせようとしない。自分をどろどろに溶かす勢いで愛す際の男は確かに格好良いと形容するに足る男くさい色気を出していると思えるのだが、逆となると途端にこれだ。その差にさえ愛しく可愛らしいとも思っているので問題はないのだが、いつまでも拒否されるのは面白くない。目前で伸ばされた腕を掴み、顔を覗き込む。顔を背けるのをのを名を呼ぶことで辛抱強く待ち、漸く向けられた視線に普段と全く同じ首を傾げる動作をしながら真摯に尋ねる。
「僕が触れてはいけないのかい?三郎」
だから嫌なんだと溢して再び目を逸らされるが、拒む力は弱まった。ここまでくればあとは欲に流してしまえば良い。本来不感症である三郎は何故か雷蔵に施される快楽には滅法弱いようで、相手から催促させる程にまで堕とすのは容易かった。
実は愛されている時に相手に割と似たようなことを考えているなど露知らず、雷蔵は腰ひもを解いて襦袢をたくし上げた。
外気に震える肌に唇を這わせ、鳩尾を伝い下帯に辿り着く。それも取り払おうとした時、手を掴まれた。
「・・・三郎」
真っ赤に染まった顔が気まずげに目を泳がせている。分かりきった理由から流石に無理強いはできず、その顔に優しく口付けを落としていった。ちらりと見上げてくる視線を捕まえてにこりと殊更に優しく微笑みかける。すると一度強く握り締めた手がそろそろと離れていった。
付け込んでおいてなんだが、三郎は本当に僕に甘い。弱いというべきか。そこまで甘やかさなくとも愛想などまったく尽きる気配がないのだが、自分への溺愛加減自体はくすぐったくて甘くて、不満などない。むしろもっと求めてしまいそうだった。今度はちゃんと甘やかしてやろうか。傍から見れば充分甘やかしているから意識的になど必要ないと窘められそうなことを考えながら、下帯に手を掛けた。
どろりと糸を引いて、白濁の液が零れ落ちる。自身にもべっとりと纏わりついていてなんとも卑猥なことになっていた。それを掬った指先を口元に運び、舐め上げようとする前に手を取られて口に含まれる。もっと恥ずかしがる姿を見たかったのに先手を取られてしまったが、結局は沸騰しそうなほど真っ赤なので好きにさせることにしてぱくりと自身を咥え込む。ひっと息を飲む声が聞こえてきて、指先に歯が立てられるのを感じた。
「雷蔵!いい、そんなの口に含まなくていいから!」
「大丈夫だから、汚くなどないよ」
「んっ、わ、しゃべらないで・・・っ!」
わざと舌を擦り付けるようにして会話に応じる。三郎は一向に雷蔵が精液を嚥下することに慣れない。回数で慣らすしかないかと、まるで生娘のような反応を返してくる身体に常との違いを覚えながら触れ続けた。本当にその懸隔が、たまらなく愛おしい。
纏わりついた液体を舐めとっていた雷蔵は一瞬息を止めて、ちらりと仰ぎ見る。未だに捕らえられている左手。最初は刺激に耐えるために、咬みはしないものの吸い付いてくるだけだった。それが時折熱い吐息に触れながら、爪と肉の間に舌を差し入れられ吸われてはやわく咬まれたりと、だんだん口淫に集中できなくなってくるほどの愛撫が指の先端に施されている。
まったく、奉仕することにまで長けているのだから性質が悪い。愛することにもこんなに器用でなければもう少しは振り回されずにすんだかもしれないのに。
そう考えてから思いなおす。こいつは存外感情表現は稚拙だ。しかし今まで愛し方もわかってなかったからこそ、全霊を持って注ぎ込まれている気がした。
ともかく、これ以上気をそぞろにされては何も出来ない。手を放させようとしたが、両手で掴まれているので解けなかった。しばしの睨み合い。むうっとした顔をされながら、きつく吸われた。
「さぶ・・・」
「らいぞう、雷蔵仰向けになって」
「ふぇ?」
かぽりといやらしい音を立てて咥内から熱源が抜けた。口端から零れた液を、顎を掬い取られて舌で拭われる。
上体を起こすと、そのまま後方へ倒されたので少しだけ頭を浮かせる体勢で止めた。どうする気なのだろうと眺めやると、背を向けて跨がれる。目の前で尻尾が揺らめき秘部が晒されて、これは…と思いながらその裂け目を指でなぞった。
「ひ、ぅ、らいぞ、おれも、舐める・・・っ!」
つまり、二つ巴をしようということか。
***
雷蔵は完全に頭を布団に寝かせ、精液の滴るそれの先端に口付けを贈る。そのまま口に含んでちゅうっと吸い上げると頭の真横で体を支えている太股が震えるのを見て取り、その内股を撫で上げた。
三郎はといえば懸命に目の前にある雷蔵のものを気持ち良くさせようとするのだが、先程の口淫に続けての刺激に耐えるのに精一杯で思うように舌が動かない。そこに内股への刺激が加わり、身体を支える力が抜けて結果、喉奥にまでその肉棒を銜え込むこととなった。突然のことにむせそうになるが、どうにか堪えてそのまま口腔の奥で先端を挟み込む。そこから上顎にかけてスライドさせ、かこかこと扱いた。
「ふ、んん、っ」
背後から快楽に濡れた声が耳へ届く。気持ちよくさせられていることに嬉々としていると、内股を撫で上げていた手が臀部を辿り、尾てい骨に生えた厄介なものに行き着こうとしていることに気付いた。
慌てて口を離し、止めようと手を伸ばす。が、それは間に合わなかった。
「や、だ、もっ、そこは・・・ぁ!!」
「嫌じゃない、っだろう?さっきから気持ちよさそうに揺れているし、さっ」
触れて欲しそうだったよ、とそんなつもりなど全くなかったことをいやらしげに告げられる。根元を扱かれ、ただでさえ己の身体の支配が手元から離れてしまっているというのに。身体を駆け巡る熱に力が抜けて上体が倒れ込む。頬に熱いものが触れた。息が上がり涙で上手く物が見えない。ちろりと舌を出して袋をつついた。
雷蔵の手が一瞬止まり、その隙に少し前に乗り出す。指を舐めて唾液を纏わせ、それを性器より更に奥にある割れ目を辿り、密やかに窄まった蕾まで運ぶ。硬く閉じたそこへつぷりと指を差し入れた。
「うあっ!?こら、今日は僕がってっ!」
「わかって、るさっ。でも、雷蔵はここも気持ち好いだろう・・・っ?」
二人して息も絶え絶えの中、言葉を交わして性感帯を弄りあう。ぐるりとナカを掻き混ぜて、もう一本差し込む指を増やした。その時、一層強く自身を搾り取るように扱かれてがくりと身体が落ちる。身体が完全に雷蔵と密着し、自身は胸板との間に挟まれた。
それが纏っていた精液を利用して、雷蔵が目前に晒された蕾へも指を差し入れる。尻尾は力をなくし、時折震えながら雷蔵の頬を撫ぜる。身体を起こす力はもう出ないができるだけ体重を掛けないように努めて、自分は足の間へ首を伸ばして膝下に腕を通して抱え込むようにしながらナカへの奉仕を優先した。しかし首や顎に触れる熱に唇を落として、滲み出る快楽の涙を吸い上げ拭うことは忘れない。
部屋の中にぴちゃ、くちゃという卑猥な水音が響き、荒い息遣いが肌を焼く。滑りを良くするために首をめぐらせて、直接舌を差し込み唾液を孔の中へ流し込んだ。そのまま先端を尖らせてちろちろと入り口を嘗め回す。顎や首筋を少しだけ溢れ出た液が熱く伝って行き、耳元の髪は白く濡れた。
両手の人差し指と中指が入り込み、ナカの熱い内壁を好い所をあえて避けながら解していく。薬指を足してばらばらに動かすことができるころにはどろどろに溶けて、より質量の大きいナニかを求めるようにひくつき始めていた。
その時には三郎の孔も柔らかく緩み、ひくひくと震えて腸液だか唾液だかすでに判断のつかない涎が流れ出ていることを自覚した。あぁ、頬に触れる熱を今すぐにでも差し入れたい。その時を思い出してぞくりと背筋が震え、孔口がきゅうっと閉まる。息を吐きかけ、根元からゆっくりと舐め上げる。すると組み敷いた身体がまたひとつふるりと気持ち良さを訴え、涙の溢れる量が増した。
なんとか四肢に力を加えて起き上がる。振り返ると悦楽に濡れきった視線と合った。引き寄せられるように唇が重なる。それが熱くて蕩けそうで、そして甘くて互いに貪るように深く絡めあう。汗が流れ頬を拭うと、それに合わせて顔が縒れた。視界を遮られて辟易とするそれは邪魔でしかなくて、さっさと剥ぎ取ると枕元に放った。
少しだけ冷えたように感じたそれはそれで不満で。相手の熱と絡めるように下半身を寄せて、再び口付けを落とした。
「雷蔵、っどちらが、いい・・・?」
掠れた声で名前を呼ぶ。選択が不得手な雷蔵にあえて二択を迫りながら、待つことなどできずにせがむように股間に熱を押し当てて軽く揺さぶった。
選択肢はこの二つ。
熱棒を求める孔に荒々しく押し入って、嬲り犯してほしい?
それとも、張り裂けそうな性器を熱い内壁で包んで、搾り尽くしてほしい・・・?
「ね、らいぞう・・・?」
「う、やだ、選べないっ!」
どちらも欲しくて仕方がないと、淫蕩にふけった瞳から涙が頬を滑り落ちる。どちらからでもいいから早くと、腰が揺らいでぬちゃりと肌の合間で白濁がぬめる。快楽に溺れ、とろけきった恋人の身体は今が食べごろとばかりに壮絶な色香を放っている。無意識に舐めた唇の端が、上がった。
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